11月末にわが家の家族になったオカメインコのオトメが今朝いなくなってしまった。


毎朝、食事が終わってから籠から出してやると、部屋中を飛び回ったりあっちこっちお気に入りの場所でいろんないたずらをしていたオトメが、今この部屋にいない。


今朝、いつものように主人を送り出した後私の肩に乗っかっていたが、布団を上げに寝室に入ったとき、タンスの上に飛び移った。

そしていつものように窓を開けて布団をたたみ始めて少し経ったとき、突然すごい速さでオトメが窓から飛び出してしまった。

肩に乗っけたまま同じことをしたことがあったけど、そんな時には外に飛び出していかないように気をつけていたのに、今日は全然気にせずに大きく窓を開けていた。

まさか逃げていくなんて思いもせず、完全に油断していたのだ。


9階のベランダから勢いよく飛び出したオトメは、何の躊躇もせず、私の呼びかけを無視して、嬉しそうに一声鳴いて、高いところを飛び玄関側に回り込んで見えなくなった。


私は大慌てで玄関から外に飛び出してオトメ~と呼んだら、マンションの棟と棟の間の高いところを旋回して、またベランダ側に飛んでいったので、私もオトメを追って即ベランダ側へ。


どこへいったかと探してみると、すぐに3階高い隣の棟のテッペンに入るのが見つかり、またオト~と呼ぶと、その途端、またさっきと同じ方向へ飛んでしまった。


再びあわてて玄関から飛び出したときに、私が目にしたのは信じられない光景だった。

小さ目の猛禽類に追いかけられ、悲鳴をあげながら必死に逃げているオトメの姿が目の前にあったのだ。

ほんの数秒でオトメの小さな身体はわしづかみにされて、連れ去られた。私は声も出なかった。


向かいの棟に一瞬隠れて見えなくなったが、すぐこちら側に戻ってきたので、私は部屋を通って反対側のベランダからそいつが飛び去る姿をただ呆然と見送りながら絶望感に襲われた。


いつも狭いところに閉じ込められていたオトメは、外に飛び出して初めて自由を感じたのだろう。

でも、その自由はたった数分間に過ぎなかった。


ゴメンねオト…

あなたの自由はこの家の中にしかなかったのに。

わたしは、それを教えてあげることができなかった。

守ってあげることができなかった。


ゴメンねオト…
それしか言えない。


主人が一生懸命作ってくれた木の巣箱で一度も寝ることがなかった。

そのうちここで寝てくれるかな~って楽しみにしてたのに。

ゴメンねおとーちゃん。


今日は出張でいないけど、明日帰ってきたら何ていうだろう。

悲しむだろうなぁ。